秋の花束 (あきのはなたば)
フジバカマ、ススキ、水引草、シュウメイギク、旗ざお桔梗…うちの庭にもやっと秋が来ました。
『秋の花はどこか悲しい』と母が言っていたのを思い出します。
母は茶の間に座ってボーッと庭を眺めるのがとても好きで、『一日中見ていても足らん!』と
よく言っていました。足らんとは方言で『飽きない』と言う意味です。
そんな母が『獲物をくわえたイタチが通った!』と大騒ぎしたことがありました。
私も2度ほど見かけたことがありますが、あっという間に庭を横切って行ってしまいました。
実はある日曜日の午後、我が家に珍客が現れたのです。
昼ご飯の後ひとり茶の間でぼーっとしていた時の事、縁側に手をかけてじっとこちらを
見てるものがいる!!
大きい!まるまると太ってる!目が合っても動じない!何という人なっこさ!
生まれて初めて見る動物に私は心臓がバクバクして、立ちすくみ身動きできませんでした。
『お願い、こっちへ来ないで』と祈りながら慌てて動画を撮りました。
その動物は20分近くも庭を歩き回り、いつの間にかいなくなりました。
『いったい何者?』とスマホで調べたら同じ顔の『アナグマ』の写真が出てきました。
『同じ穴のムジナ』と言うことわざの『ムジナ』の事らしい。エサはミミズですって!
そう言えばうちの庭はどこを掘ってもミミズが出てきます。
興奮冷めやらぬ私は孫や友に動画を送りもくりました。
数日後動画を見た友から一句届きました。
『秋うらら 庭にアナグマ来たさうな』
2歳間近の孫は『アナグマさ〜ん、こっち来て』と動画に呼び掛けています。
母にもアナグマみせたかったなぁ。
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